新しいデザインの考え方を探索する研究会「不便益システム研究会」に参加しました。
第36回不便益システム研究会
日時:2023年5月12日(金)16:00-18:00
場所 京都
今回の講演は、早稲田大学 理工学術院 上杉 繁 教授の
上杉先生は、道具と身体との関係を深く考察しながら、身体をより良く活用するための道具の開発など、人間拡張にもつながる先端の研究をされています。
中でも、道具を使うことによって道具から無意識に受ける影響をデザインするという面白い視点の研究は、BeaTOOLの考え方に近く参考になります。
今回の講演では、道具と人間の関係についての哲学的議論(道具論)に重心をおいて、
道具を使用する人の能力向上などの効果に加えて,
技術利用により使用者のあり方が形づくられるという考え方(オートポイエーシス論)
などを紹介いただき、参加者との活発な議論を楽しませていただきました。
道具そのものや、道具と人間との関係は、そもそも多面的なのではないか?
一方通行で明示的な関係性(明確な利便性や不便)だけでなく、
双方向な関係や潜在的な関係性が重層的にあって、それらに注目しようとする視点が
不便益や上杉先生の研究に共通項としてあるような気がします。
そのような多面的で重層的で双方向の関係性をうまくデザインに落とし込むヒントを、
今回の研究会で得られたのではないかと思います。
不便益システムといのは、京都先端科学大学 川上浩司先生、日本自動車研究所 平岡敏洋主席研究員が中心となって研究されているデザインの考え方で、「行き過ぎた便利さを見直して不便をうまくデザインすることで、便利さを保ちながら便利さで生じる害を改善したり、便利さでは得られない益を創出する」ことを目指す、最近メディアでも注目されている考え方です。駄具道で扱う雑貨は、基本的な機能において「不便益」の考えを反映するようにしています。
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